今般、「引き裂かれた約束」と題する藤本健二氏の著作が出版されました。私に関する事実に反する記述が同書内に数ページあることから、以下のとおり、私の立場を明らかにすることにいたしました。
私は、十有余年にわたり、単に民主党の一議員としてではなく、超党派的立場で拉致問題解決を目指して頑張って参りました。とりわけ、従来から拉致問題担当大臣就任以来、拉致被害者の生存情報をあらゆる機会を通じて積極的に入手し、様々なチャネルで北朝鮮側と接触をすることを公言してまいりました。加えて、あらゆる機会に、日本側のこの問題解決についての考え方を北朝鮮に伝えるべく、努力してまいりました。
私が、いわゆる松原仁3条件として北朝鮮に伝えてきたことは、既に記者会見を含め様々な機会に発表しているとおりであります。すなわち<拉致問題の解決がない限り、日朝国交正常化はない。死んだと報道されている拉致被害者が実は生存していたとしても、それを批判することなく前向きに北朝鮮の体制の変化として受け取る。さらに、一定の進展があれば、人道支援は直ちに可能となる>の3点であります。
この松原仁3条件のみならず、日本側の意向を北朝鮮側に伝えるための接触は、1月の私の大臣就任以来、ほぼ毎週と言ってよいほど頻繁に行ってまいりました。
それぞれの接触において、当方の主張は一貫しておりましたが、それに対する対応には若干の違いがありました。
そうしたものの一つとして、藤本氏の案件が存在いたしました。当初は、氏の日常の言動から、拉致問題担当大臣が直接接触することは避けるべきという反対の声が多かったなか、私はあえて、あらゆる機会を通して拉致問題の解決を目指すという大臣としての責務を果たすために、批判を覚悟で面会することを決断いたしました。
今回の同氏の著作をみれば、同氏に会うべきではないと反対してくださった皆さんが正しかったとも言えましょうが、私としては、実際に北朝鮮最高指導者に会えるという事実の大きさは、拉致問題の解決にとって重要であると考えた次第であります。
以上の観点から、同氏と秘密裏に面会をしたということは事実であります。
しかしながら、面会時の会話の内容において、今回の同氏の著作に述べられている私に関する記述は、事実と大きく異なっていますことから、以下、具体的に重大な相違点を指摘いたします。
(その1)
同氏は、私が再訪朝を延期するよう依頼したと記述しておられますが、既に第一回目の面会以前に、同氏が同著作の記述とは全く異なる理由から再訪朝を延期していたことを、私は承知しておりました。
したがいまして、私が同氏に訪朝の延期を要請する必要も、その事実もなかったことを断言いたします。
(その2)
当初から、先に述べた消極意見もある中で、いかなるものであっても同氏に公的文書を託するという選択肢はありませんでした。私は、日本側の拉致問題に対する考え方を北朝鮮の最高指導者に伝える点において、有効なパイプであると認識していたのみであります。
(その3)
以上述べましたように、私が同氏との面会において、何ら臆する必要もなく、淡々と以上の観点から、意見交換をしたものであります。
結果として、同書はその全体として、一定の意図をもって書かれていることは間違いないと考えます。その意図のひとつは、同氏が訪朝延期の責任を私に転嫁するというものではないかと推察いたします。
以上、縷々述べてまいりましたが、私は今後もあらゆる接触を通じて、拉致問題を解決するという観点から、いかなる可能性をも排除せずに、政府及び関係団体と一体となって頑張ってまいります。